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2016-04-18
「考える子ども」を育てるためのてだてとして ~その3~
連日、「考える子ども」を育てるために行っている「基礎学力を鍛えるための10の取り組み」について連載しています。
本日は、「聞く・話す力」についてご紹介させていただきます。
―『おしらせ』―
これは、『れんらくちょう』(詳しくは4月15日掲載の記事をご覧下さい)と同じく、本校創立以来の伝統的な学習法です。子ども達一人ひとりが身の回りにある「自然のもの」を交代で教室に持ち込み、学級みんなの前で発表するのです。第一段階は、持参したものの紹介をし、次の段階では、持参したものについて友達からの質問を受けます。その場で答えられることなら応答し、疑問が残るようであれば、各自で調べてから改めて発表します。
毎年、この『おしらせ』をしようと、入学して間もなく教室には次々と自然のものが持ち込まれます。子ども達は目を輝かせながら自分の発表の順番を待っています。しかし、『おしらせ』をしていると、子ども達はどうしても情報を得ることができなかったものや、得た情報に迷いがあるものに出会います。すると、その正体を見極めようと、図鑑を手にします。そして、「形は、こうなっているから・・・」「色は、これだから・・・」と、対象物をじっくり観察しつつ、図鑑とにらめっこを始めます。
こうして知りたいことにじっくりと向き合っても、どうしても答えに行き着かないものもあります。しかし、自分達の力で「わかった!」を実感できたときの達成感は、格別のようです。こうしたきっかけを積み重ねていくのです。
1学期も終わりに近付くと、子ども達の『おしらせ』発表に変化が見られるようになってきます。当初は、持ち込んだものの名前や、それが育っていたところ、捕まえたところなどの情報を発することに留まっていた子ども達ですが、次第に友達の発表したものと比較をしたり、黒板に絵を書いて説明しようとしたりと、より内容を深めようとする姿が見られるようになるのです。すると、その発表を聞いている子ども達も、「キュウリの花は黄色かったけれど、他にも黄色の花の野菜があるのか知りたいなあ」「なぜ海で見つけた石は丸くて、川で見つけた石はとがっているのかなあ」などと反応を示すようになります。
こうして友達との関わりを通じて生じていく「不思議」と、それをまた追究したくなる「探究心」が、子ども達の心の中に確かに芽生えるのです。